〜ようになります(みんなの日本語36課)

日本語の教案
大澤寺(だいたくじ)(大阪市)

〜ようになりました(能力) 導入

学生が経験したこと、または今経験していることを使って導入したいと思い、例文を考えました。

い形容詞+なります

先生:2月は寒かったですね。皆さんも寒かったですか。

学生:ええ、寒かったです。

先生:3月になりました。3月はどうですか。少し暖かいですか。

学生:ええ、少し暖かいです。

先生:2月は寒かったです。3月は少し暖かいです。

先生:少しあたたか・・・

学生:少し暖かくなりました。

先生:寒くなくなりました。

次のように板書しました。

さむい→→→→→すこしあたたかい     (「→→→→→」は、ひとつの長い→の意味です)

さむい→→→→→さむくない

みんなの日本語では、19課で次の文型を学習しています。

テレーザちゃんは 背が高く/元気に/10歳に なりました。

ですから、みんなの日本語で学習した学生は「寒くなくなりました」は未習です。

名詞+なります

先生:Sさんは次の誕生日が来たら、何歳ですか。

Sさん:21歳です。

先生:今年で21歳・・・

Sさん:今年で21歳になります。

次のように板書しました。

20歳→→→→→21歳     (「→→→→→」は、ひとつの長い→の意味です)

クラスの学生数が少なかったので、全員に聞きました。

誕生日が来年の学生がいたら、「次の誕生日で○○歳になります」を使ったらいいと思います。

な形容詞+なります

先生:Sさん、授業が終わってからSさんが黒板を掃除しました。Sさん、黒板はきれいですか。

Sさん:はい、きれいです。

先生:黒板がきれい・・・

Sさん:黒板がきれいになりました。

次のように板書しました。

きれいじゃない→→→→→きれい     (「→→→→→」は、ひとつの長い→の意味です)

動詞+なります

(3月に授業をしました。)

先生:皆さんは去年の4月から日本語を勉強しています。去年の4月は日本語が分かりませんでした。

先生:今は日本語がわかりますか。

学生:はい、少しわかります。

先生:「わかる」は、い形容詞ですか、な形容詞ですか、名詞ですか、動詞ですか。

学生:動詞です。

先生:動詞のときは、「ように」を使います。

先生:今は日本語が少しわかるように・・・

学生:今は日本語が少しわかるようになりました。

次のように板書しました。

わからない→→→→→わかる     (「→→→→→」は、ひとつの長い→の意味です)

みんなの日本語で学習してきた学生は、「〜ときは、〜」を学習していない可能性があります。

みんなの日本語では、「〜とき、〜」は23課で学習します。

私の知る限りでは、「〜ときは、〜」は、28課の最後の問題の1の2)に出てきます。

1の2) 暇なときは、いつも何をしていますか。

私は、「〜ときは、〜」は「『とき』+topicの『は』」だと説明しています。

(英語を使って説明しています。)

「〜ようになります」が使えないとき

先生:かぜをひきました。それで、学校も会社(アルバイト)も休みました。長い時間寝ました。かぜが治りました。

先生:「かぜが治るようになりました」は使えますか。

学生:使えます。

そこで、次のように板書しました。

  なおります
かぜ→→→→→げんき     (「→→→→→」は、ひとつの長い→の意味です)

先生:→の上の意味のときは「〜ようになりました」は使えません。

先生:「元気になりました」「かぜが治りました」は使えます。

先生:「仕事に慣れます」「食べ物が腐ります」なども「かぜが治ります」と同じです。

次のときは「〜ようになります」が使える

先生:治らない病気がありました。でも、新しい薬ができました。今はこの病気も治ります。

次のように板書しました。

なおらない→→→→→なおる     (「→→→→→」は、ひとつの長い→の意味です)

先生:この病気も・・・

学生:この病気も治るようになりました。

同じ使い方の例文です。

⑴ (今まで学校へ行かなかった子どもが)学校へ行くようになった。
⑵ (子どもが成長して)やっとすぐ寝るようになった。
⑶ (住所変更届を出して)郵便物が届くようになった。

⑴ 油をさしたら、ドアがスムーズに開くようになった。
⑵ 私は毎朝朝食を食べるようになった。

◆動詞(の肯定形)で表される状態の変化は「ようになる」で表します(否定の場合は「なくなる」で表します)。(同書p72:この子はあまり泣かなくなった。)

◆「ようになる」はそれまで存在しなかった状態が現在は存在するということを表します。例えば、⑴はそれまで「スムーズに開く」状態になかったドアが現在は「スムーズに開く」状態にある、ということを表します。
⑵の「食べる」のような意志動詞が使われていても、「食べるようになる」全体は意志的な動作を表さず、自然にそうした状態に至ったことを表します。

庵功雄ほか 初級を教える人のための日本語文法ハンドブック p75

みんなの日本語の教え方の手引きのp99に、「この課では可能動詞、『わかります』『見えます』など、能力、可能を表す動詞を中心に扱う」とあります。

上で引用した日本語文法ハンドブックに載せられている例文⑴、⑵のようなものは扱わないということです。

「い形容詞+なります」で「寒くなくなりました」を教えましたが、

⑴ (昔と違って今は)川で泳げなくなった。
⑵ (昔と違って今は)川で泳げないようになった。

⑴と⑵の違いをどう教えるかという問題が起こってきます。

⑵のほうが丁寧だと思いますが、⑴と⑵は同じだと教えました。

〜ようになりました(能力) 例文

  1. 日本語が少し話せます
    →日本語が少し話せるようになりました。
  2. 簡単な漢字はほとんど書けます
    →簡単な漢字はほとんど書けるようになりました。
  3. ひらがなとかたかなは全部書けます
    →かたかなとひらがなは全部書けるようになりました。
  4. 英語がかなりできます
    →英語がかなりできるようになりました。
  5. やっと10km走れます
    →やっと10km走れるようになりました。

〜ようになりました(能力) 練習

次のように板書しました。

(          )ようになりました。
(          )ようになりたいです。

先生:括弧の中を考えてください。(「括弧」は未習ですが、「( )」を指で指して教えました。)

解答例:料理が少しできるようになりました。
    車の運転ができるようになりたいです。

〜ようになりました(状況可能) 導入 

先生:服を買いたいときはどうしますか。

学生:お店へ行って買います。

先生:今はインターネットで買い物ができます。

先生:昔はインターネットで買い物ができましたか。

学生:いいえ、できませんでした。

先生:インターネットで買い物が・・・

学生:インターネットで買い物ができるようになりました。

〜ようになりました(状況可能) 例文

  1. ケータイで写真が撮れます
    →ケータイで写真が撮れるようになりました。
  2. たくさんの病気が治ります
    →たくさんの病気が治るようになりました。
  3. 24時間開いているお店があります
    →24時間開いているお店があるようになりました。
  4. ジャズを聞きます
    →ジャズを聞くようになりました。
  5. 川で泳げません
    →川で泳げないようになりました。/川で泳げなくなりました。

〜ようになりましたか…いいえ、まだ〜ません 導入

「いいえ」で答えるとき

みんなの日本語「教え方の手引き」の導入例は、次のようになっています。

にほんごの しんぶんが よめるようになりましたか。
…いいえ、まだ よめません。

手引きでは、「よめるようになりましたか」と聞かれて「いいえ」で答えるときは、「いいえ、まだ、よめません」です。

ところが、学生に答えさせたら、次のように答えました。

学生:いいえ、よめるようになりませんでした。

それで、「→」を使って、「まだ、よめません」「よめるようになりませんでした」「まだ、よめるようになっていません」を説明しました。

先生:日本語の本が読めるようになりましたか。

先生:Sさん。 いいえ、・・・

Sさん:いいえ、読めるようになりませんでした。

先生:それもOKです。

次のように板書しました。

よめない→→→→→よめる     (「→→→→→」は、ひとつの長い→の意味です)
          ❌

先生:「読めるようになりませんでした」は、この赤の❌です。

次のように板書しました。

よめない→→→→→よめる     (「→→→→→」は、ひとつの長い→の意味です)
 ❌

先生:「まだ、読めません」は、この赤の❌です。

次のように板書しました。

よめない→→→→→よめる     (「→→→→→」は、ひとつの長い→の意味です)
    ❌❌❌❌

先生:(❌を1個かいて)読めるようになりません。(これを何回か繰り返す)

先生:(❌❌❌❌を指して)読めるようになっていません。

先生:「まだ、読めるようになっていません」は、この赤の❌❌❌❌です。

「はい」で答えるとき

先生:日本語の本が読めるようになりましたか。

先生:Sさん。 はい、・・・

Sさん:はい、読めるようになりました。

先生:はい、少し/かなり/ほとんど/やっと 読めるようになりました。

「いいえ」で答えたあと

先生:「いいえ、まだ読めません」と言いました。

先生:早く読めるようになりたいですか。

先生:Sさん。 はい、・・・

Sさん:はい、早く読めるようになりたいです。

「読めるようになりたいですか」は初めてなので、「なります」「なりたいです」「なりたいですか」とゆっくり言いました。

〜ようになりましたか…いいえ、まだ〜ません 練習

次のようなプリントを作りました。

A
リンさん:日本語の新聞が読めるようになりましたか。
アンさんー1:いいえ、まだ読めません。早く読めるようになりたいです。
アンさんー2:はい、 少し/かなり/ほとんど/やっと 読めるようになりました。


B
1. 漢字が読めるようになりましたか。
2. テレビを見ておもしろいと思うようになりましたか。
3. 大阪で行きたい所に行けるようになりましたか。
4. 料理が作れるようになりましたか。(全ての学生に使えないかもしれません)

先生:B1、B2、B2、B4のどれかを使って、Aの会話をしてください。

先生:Aを見ないで会話をしてください。

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